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マニア・オタクというのはくだらない話が大好きだ。
そのジャンルに興味のない人からすると「だからなんなの?」と思わずにはいられない不毛な議論を延々と続けられる。そして、その“無駄な時間”の積み重ねもまたマニアの楽しみなのだ。
・・・と訳の分からん書き出しでスタートした今回のエントリー…
コレクター仲間(というより“大先輩”)であるしらいしろうさんのブログ【ぷれしゃす・もーめんと】に「追求すると、松井は何ゴジラ?」というエントリーを発見。
ニューヨークヤンキースで活躍中(今は故障中らしいけど…)の松井秀喜選手は「ゴジラ」のニックネームで親しまれているわけだが、一言に「ゴジラ」って言っても作品ごとに「ゴジラ」の顔は違うわけで、松井のニックネームである「ゴジラ」は何ゴジラなのか?という内容である。
失礼ながら、実にくだらなく、実にどうでもいい話題だと思うが、ゴジラ好きとしては議論せずにはいられないエントリーである。(^^;
しらいさんはビジュアル面から松井選手のニックネームのモデルとなったのは「ゴジラ」は1984年公開の『ゴジラ』で使用されたサイボット・ゴジラではないか?という結論を導き出している。
なるほど、確かに似ているし、あえて“84ゴジ”ではなく“サイボット版の84ゴジ”という指摘はゴジラ好きならではの指摘である。
「オレもサイボット・ゴジラが一番似てると思うから、サイボット版ってことでいいよ…」としたいところだが、それではわざわざエントリーした甲斐がないってもんなので、もう少し考察を加えてみることにしよう。
まずは、この議論のスタート地点である“松井秀喜選手が「ゴジラ」と呼ばれるようになったきっかけ”について調べてみた。
ネット上に存在する情報を総合すると、初めて公に松井秀喜選手を「ゴジラ」と呼んだのは1992年3月26日付の日刊スポーツに掲載された記事で、高校3年に進級する直前、センバツ高校野球大会に出場することとなった松井選手の練習風景を“西宮球場の右翼中段のイスを打球が直撃。120メートル弾は勢い余ってグラウンドに跳ね返る。春1号の予告弾。『ゴジラ』松井のバットがいよいよ火を噴く時がきた”とした文章が初出とのこと。
この記事を担当したのは、当時、日刊スポーツ大阪本社でアマチュアスポーツ担当記者をしていた赤星美佐子氏らしい。(現在はご結婚なされて赤星は旧姓)
つまり、「松井選手」=「ゴジラ」の名付け親はこの赤星氏ということになる。
【参考資料】
■ 松井秀喜★情報局 第10話 ゴジラ命名
http://www.b1.i-friends.st/index.php?in=kiratan&pan=244
■ G-Search "side B" -G-Searchで調べる・知る・楽しい
http://db.g-search.or.jp/sideb/siraberu/godzilla.html
「ゴジラ松井」の初出となった記事が1992年3月26日付であることから、1992年12月12日公開の『ゴジラvsモスラ』以降のゴジラ作品がモデルということは時系列的にありえない。
これで「ゴジラ松井」の「ゴジラ」のモデルとなったのは1991年公開の『ゴジラvsキングギドラ』以前の18作品のどれかということになる。
次に、「ゴジラ松井」の名付け親である赤星氏を中心に考えてみよう。
赤星氏は“松井が高校1年生の時から注目し、精力的に取材を重ねていた”そうなので、少なくとも松井選手が高校1年だった1990年にはスポーツ記者をしていたことになる。
このことから赤星氏の年齢・世代からある程度の絞り込みが可能ではないか?と考えてみた。
仮に、赤星氏が浪人なし・留年なしで大学を卒業した後、日刊スポーツ大阪本社に就職、就職1年目ですぐにアマチュアスポーツ担当の部署に配属になったという最短コースを歩んだとした場合、赤星氏は1967年(早生まれの場合1968年)生まれということになる。
ただ、これは大学卒業→アマチュアスポーツ担当という最短コースが前提の計算なので、実際のところは何年生まれなのかは分からない。それに、女性の年齢のことをあれこれと詮索するのはアレだし…
まぁ、常識的に考えれば1960年代生まれといったところではないだろうか。
ここで重要になってくるのは、赤星氏がイメージした「ゴジラ」とは、幼少期に観た「ゴジラ」なのか、それとも、ある程度大人になってから観た「ゴジラ」なのかである。
1960年代~1970年代中盤までゴジラシリーズはほぼ毎年公開されていたが、1975年公開の『メカゴジラの逆襲』から1984年公開の『ゴジラ』まで約9年間のブランクがあり、1989年公開の『ゴジラvsビオランテ』までにまた約5年のブランクがある。
“幼少期に観た「ゴジラ」”と“ある程度大人になってから観た「ゴジラ」”という分類に注目したのはこうした時間的・世代的な断裂が存在するからだ。
幼少期に観た「ゴジラ」がモデルだとすれば、モデルの候補は1960年代後半~1970年代中盤までの作品に絞り込むことができそうだし、ある程度大人になってから観た「ゴジラ」がモデルだとすれば、モデルの候補は『ゴジラ(’84)』~『ゴジラvsキングギドラ』の3作品に絞り込むことができそうだ。
と、ここまで考えたところで大きな落とし穴に気が付いた…
1970年代といえば、「東宝チャンピオン祭り」があるじゃないか!
1970年代に新作として公開された作品は1971年公開の『ゴジラ対へドラ』~1975年公開の『メカゴジラの逆襲』までの5作品だが、「東宝チャンピオン祭り」でリバイバル上映された作品がある…
「東宝チャンピオン祭り」まで含めて考えると、正直言って作品を特定することは不可能な気がしてきた…
それに、「東宝チャンピオン祭り」以外にも、地方の映画館でのリバイバル上映もあったはずだし、テレビで放映されたゴジラ作品もある。それに、『流星人間ゾーン』にゲスト出演した回を観たのかもしれない。
そこまで含めたら、可能性は無限大になってしまう…
うーん…行き詰った…こういうときは角度を変えて考えてみよう。
そもそも、赤星氏はなぜ松井選手を「ゴジラ」と呼んだのか?
その理由は“噛み合わせが、しっかりとした歯並び・強靭な下半身。それが生み出す、とてつもないパワー。そして時折笑う時の愛くるしい表情…そう、なんとなくゴジラに似ている!”と思ったかららしい。
つまり、赤星氏にとっては以下の4点が「松井」と「ゴジラ」に共通したイメージということになる。
【1】噛み合わせ・歯並び
【2】強靭な下半身
【3】パワー
【4】笑う時の愛くるしい表情
【1】噛み合わせ・歯並びについては、スポーツ記者がわざわざ言及しているくらいだから、「噛み合わせがいい・歯並びがいい」というプラスの評価なんだろう。
歯並びがが印象的な「ゴジラ」といえば、やっぱり『ゴジラvsビオランテ』以降の2列歯になったいわゆる「平成ゴジラ」か『ゴジラ(’84)』だろう。個人的な印象だが、「昭和ゴジラ」はお世辞にも歯並びがいいとは言えないし…
【2】強靭な下半身と【3】パワーは、ほぼすべての「ゴジラ」に共通しそうなので、手がかりにはなりづらいかもしれない。でも、より下半身が強調されたシルエットなのは、やっぱり「平成ゴジラ」のような気がする。
ここまでを総合すると、どうも「平成ゴジラ」のイメージに近いと思うのだが、【4】笑う時の愛くるしい表情で事態は一変する。どう考えても「平成ゴジラ」には“愛くるしい”というイメージは似合わない。
どちらかといえば、“愛くるしい”というイメージがぴったりなのは、「おい、アンギラス」とかフキダシでしゃべっちゃったり、シェーをやっちゃったりする「昭和ゴジラ」の方だ。
どうも、赤星氏がどの「ゴジラ」をイメージしているのかが分からない…
ん?待てよ…赤星氏はこうも言っている。
“そう、なんとなくゴジラに似ている!”
そ、そうか…俺達は重大な勘違いをしていたんだよ…
赤星氏が松井選手を見て「ゴジラ」に似ていると思ったのは“なんとなく”だ。
つまり、赤星氏には明確な「ゴジラ」のイメージなんて存在しないんだよ!
ΩΩΩ<な、なんだってー
よく考えてみたら、赤星氏はゴジラマニアではない。赤星氏は以前から「ゴジラ」が好きで…みたいなおいしいエピソードがあったら、必ず紹介されるはずだ。しかし、そんなエピソードはない。つまり、赤星氏はゴジラマニアではない。
「ゴジラ」にそれほど興味のない人間からすれば、どの作品の「ゴジラ」か?なんてのはたいした問題ではなく、むしろ「ゴジラ」に分類があることすら知らない可能性が高い。
さらに、「松井」=「ゴジラ」が誕生した前年の1991年は、名古屋で「ゴジラ」の宣伝用着ぐるみが誘拐される事件(笑)が発生し、事件がマスコミでも取り上げられて話題になったところで、年末に『ゴジラvsキングギドラ』が公開されるという「ゴジラ」のメディア露出が高かった1年でもある。
「ゴジラ」にそれほど興味がない人間でも、「ゴジラ」という単語に触れる機会は多かったに違いない。
これらを繋ぎあわせて導き出される結論…それは…
赤星氏が松井選手の練習風景を見て「ゴジラ」をイメージしたのは『ゴジラvsキングギドラ』の影響であり、イメージの土台となっているのは『ゴジラvsキングギドラ』の通称「ギドゴジ」と呼ばれる「ゴジラ」である。
しかし、赤星氏がイメージした「ゴジラ」=「ギドゴジ」かと言えば、必ずしもそうではない。
その「ゴジラ」は、幼き日に観た怖くもあり、コミカルでもあり、それでも強い思い出の中の「ゴジラ」、つまり“「ゴジラ」のイメージ”そのものだったのかもしれない。
そう、松井選手のニックネームである「ゴジラ」が「何ゴジラ」なのか?なんて議論をしても意味がないんだよ!
あえて言うなら、赤星氏の心の中にだけ生き続ける「赤星ゴジラ」が正解なのかもしれない…
それぞれの心の中に、それぞれの形で生き続ける“ヒーロー”…それが「ゴジラ」なんだ…
そして、その「ゴジラ」は今も生き続けているよ…オレの心の中でもね…
つか、貴重な時間を6時間も潰してなにを書いてるんだ、オレは…_| ̄|○
ホントにマニア・オタクというのはくだらない話が大好きだ。